コラム

表紙で止まるのは絵の才能ではなく、工程の選び方の問題だ

Kindleの表紙作りで止まるのは絵の才能ではなく、KDPの仕様を満たしつつ、判断基準を持たないまま選び続けてしまう工程の性質が原因です。推奨寸法など技術要件と好みの判断は分けて考えます。

親ガイド: Kindle表紙と挿絵の作り方、KDPの規定と手順

表紙で止まる人は、たいてい画像編集を覚えようとしている。

本文が形になってくると、次は表紙だと気づく。書店で見かける本を思い浮かべて、あれに近いものを自分で作ろうとする。無料の画像編集ソフトを入れる。フォントを探す。色の組み合わせを調べる。作ってみると、どこか素人くさい。何が違うのかは分かるのに、どう直せばいいのかが分からない。そこから、デザインの基礎を調べ始める。余白の取り方、書体の選び方、色の相性。読めば読むほど、覚えることが増えていく。

1週間かけて2案作り、どちらも気に入らずに保存だけして閉じる。本文はもう書き終わっている。表紙のせいで出せない状態が続く。道具そのものでつまずく人もいる。無料の画像編集ソフトを入れてみたものの、使いにくくてそこで止まった、という話は実際に出てくる。書く作業とはまったく別の道具を、この工程だけのために習得することになる。

しかも、見た目を決める前に満たすべき条件がある。KDPのガイドラインでは、表紙の推奨寸法は高さ2,560×幅1,600ピクセル。解像度は300DPI以上。ファイルは5MB以下。形式はJPEGが推奨されている。カラープロファイルはRGBで、印刷用のCMYKは受け付けない。配置はページの左右上下の中央、上下左右15%の範囲に収める。

3〜4ピクセルの薄い灰色の枠線を付けることも勧められている。短辺が500ピクセル以下だと、アップロードはできてもサイトに表示されない。価格や販売促進の文言を表紙に入れることも禁止されている。デザインの前に、この条件表を読むところから始まる。

人に見せて意見をもらうこともしにくい。まだ本として出していないものを見せるのは気が引ける。見せたところで、相手も基準を持っていないので好みの話になる。自分で判断するしかないのに、その判断の基準を持っていない。この状態で選び続けると、時間だけが減っていく。

これは絵の才能の問題じゃない。工程の性質の問題だ。表紙を作るという作業を、自分で一から設計する仕事として引き受けてしまっている。実際には、本の表紙には型がある。ジャンルごとに読者が見慣れた形があり、そこから大きく外れないほうが本は手に取られる。ゼロから発想する必要は、もともとない。

それでも自分で作ろうとするのは、表紙は本の顔だという意識があるからだ。中身に自信があるほど、表紙で損をしたくないと考える。その気持ちは正しい。ただ、手をかけた時間の量と表紙の出来はつながっていない。基準を持たないまま時間をかけると、迷った跡が残るだけになる。

もうひとつ、この工程だけ扱う道具が違うのも効いている。目次も本文も文字の仕事。表紙は画像の仕事だ。画像生成を使うにしても、どんな指示文を書けば狙った雰囲気になるのかを、また別に覚えることになる。書く作業からの連続性がないので、ここで初心者に戻る。表紙は本づくりの終盤に置かれた工程だ。そこにきて急に足が止まる。

段階の感覚も狂う。この段階まで来ていること自体は、実はかなり進んでいる。本文が書き上がっていて、目次も整っている。残っているのは仕上げの工程だけなのに、そこが別分野なせいで、全体が止まって見える。進んだ距離と、残りの距離の感覚が合わなくなる。

判断の基準がないことは、時間の使い方にも出る。基準があれば、候補を見て数分で決まる。なければ、何時間見ても決まらない。表紙にかけた時間が長い人ほど出来がいい、という関係は成立していない。むしろ逆に見えることもある。迷った時間は、そのまま画面の中に残る。どこかちぐはぐな配置や、決めきれなかった色数として出てくる。

終わりが決められないのも、この工程の特徴だ。本文なら書き切れば終わる。表紙には、これで完成という線がない。もっとよく見せられる気がして、いつまでも手が離せない。あるいは逆に、疲れて適当なところで切り上げる。極端になりやすいのは、良し悪しを測る物差しを持っていないからだ。

技術要件と好みの問題を、分けて扱ったほうがいい。寸法や解像度は、満たしているかどうかで白黒がつく。調べれば終わる話だ。雰囲気が合っているかどうかは、基準を持っていないと判断できない。時間をかけても近づかない。止まっているのがどちらなのかで、次に何をすべきかが変わる。

今日できることもひとつ。自分の本と近いジャンルの本を3冊思い浮かべて、その表紙に共通しているものを書き出してみる。書体の太さ、色の数、文字の量、写真かイラストか。共通点が3つ挙がれば、それが型だ。判断の基準を持たないまま迷っていた時間が、そこで終わる。

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出版ラクダは、原稿を入れるだけで目次・本文整形・表紙・挿絵・販売文を生成し、EPUB/Kindle入稿用EPUB/PDFまで書き出す、買い切り型のKindle出版支援Webサービスです。表紙は30種以上のテイストから選ぶだけで仕上がり、挿絵も50種以上のタッチから選べます。1冊あたりの画像生成枠はプランに応じて20〜60枚、挿絵の挿入箇所は3〜15箇所まで指定できます。画像編集ソフトを一から覚えたり、判断の基準を持たないまま迷い続けたりする、この記事で挙げた工程がなくなります。

よくある質問

Kindleの表紙にはどんなサイズの決まりがありますか?
KDPのガイドラインでは、表紙の推奨寸法は高さ2,560×幅1,600ピクセル、解像度は300DPI以上、ファイルは5MB以下とされています。形式はJPEGが推奨され、カラープロファイルはRGBです。
表紙に価格や販促の文言を入れてもいいですか?
いいえ。価格や販売促進の文言を表紙に入れることは禁止されています。また短辺が500ピクセル以下だと、アップロードはできてもサイトに表示されません。