Kindle出版で本文を書き終えたあと、次に立ちはだかるのが表紙と挿絵です。KDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)には表紙画像の寸法や解像度についての規定があり、これを知らずに作業を始めると、あとから作り直すことになりがちです。
挿絵も同様です。どこに何枚入れるかを決めないまま絵柄探しから始めると、本文を読み返す作業を後回しにしたまま時間だけが過ぎていきます。
この記事では、KDPが定める表紙の技術要件を確認したうえで、表紙で止まらないための決め方の手順、挿絵の位置を決める手順、シリーズで絵柄をそろえる考え方の順に説明します。どれも、才能や絵心の有無ではなく、決め方の手順を知っているかどうかで結果が変わる部分です。
この記事で分かること
- KDPが定める表紙画像の寸法・解像度・ファイル形式
- 表紙のデザインで迷わないための決め方の手順
- 挿絵をどこに何枚入れるかの決め方
- シリーズや複数冊で表紙・挿絵の絵柄をそろえる考え方
Kindleの表紙サイズと規定は何が正解か
KDPの公式ヘルプでは、電子書籍の表紙画像について次の基準が示されています。
推奨サイズは高さ2,560ピクセル×幅1,600ピクセルで、縦横比はおよそ1.6:1です。解像度は300DPI/PPI以上です。ファイルサイズの上限は、KDPの「表紙画像のガイドライン」では5MB以下、「電子書籍の表紙画像の必要条件」では50MB未満と、ページによって記載が異なります。小さいほうの5MB以下に収めておけば、どちらの条件も満たします。
推奨されるファイル形式はJPEGで、カラーモードはRGBを指定します。印刷用のCMYKでは受け付けられません。
配置は表紙の上下左右15%の範囲内に収め、3〜4ピクセル程度の薄い灰色の枠線を付けることも案内されています。短辺が500ピクセル以下の画像は、アップロードはできてもストア上には表示されません。
ストアでの表紙は小さなサムネイルとして並びます。推奨サイズより小さい画像を使うと、拡大されてぼやけて見えることがあります。作業を始める前に条件を確認しておけば、あとから作り直す手間を防げます。
表紙に価格やセールなどの一時的な販促情報を入れることもできません。KDPのヘルプでは、価格やその他一時的な販売促進の提供に言及する表紙画像は使用できないと案内されています。文字を入れる場合も、ぼやけていたり一部が欠けていたりせず、判読できる状態にする必要があります。
KDPのヘルプでは、商品ページに表示される表紙画像とは別に、電子書籍の本文内に入れる表紙(内部コンテンツ表紙)についても同様の基準が示されています。価格やキャンペーン情報を含めないことや、文字が判読できることは、どちらの表紙にも共通して求められます。
条件は随時更新されるため、最新の数値は表紙サイズの用語解説とKDPの公式ヘルプで確認してください。
表紙のデザインで迷わないための手順
表紙のデザインで手が止まるのは、才能の問題ではなく決め方の問題であることが多いです。
まず、自分の本と同じジャンルの本を3冊選びます。書体の太さ、色の数、文字の量、写真かイラストかを書き出します。共通点が3つ見つかれば、それがそのジャンルの型です。
型が決まれば、ゼロから配色や書体を発想する必要はありません。型の範囲内で、自分の本らしい差をつける作業になります。表紙で止まった経験は表紙で止まる話でも触れています。
技術要件と好みの判断は分けて考えます。寸法や解像度は満たしているかどうかで白黒がつきますが、雰囲気が合っているかどうかは型を基準に判断します。この2つを混ぜて考えると、いつまでも決まりません。
人に見せて意見をもらうことも、この段階では簡単ではありません。まだ出していない本の表紙を見せるのは気が引けますし、見せた相手も判断の基準を持っているとは限りません。型を先に決めておけば、意見を求める前に自分で判断できる範囲が広がります。
表紙には、本文のように書き切れば終わるという区切りがありません。もっとよく見せられる気がして、いつまでも手が離せなくなることがあります。型という基準を持っていれば、候補を見て数分で決められるようになります。
挿絵はどこに何枚入れるかをどう決めるか
挿絵で時間がかかるのは、絵柄選びではなく位置の判断です。絵柄は好みで決められますが、位置は本文の内容と結びついているため、原稿を読み返さないと決まりません。
手順としては、まとめた原稿を通して読み、説明が長く続く箇所や話題が切り替わる箇所を探します。読んでいて息が詰まる場所が、挿絵を置く候補になります。
枚数の正解は本の長さやジャンルによって変わり、決まった基準はありません。まず1箇所を決めてから、必要な箇所を増やしていく進め方が現実的です。位置決めで悩んだ話は挿絵の場所に悩む話にまとめています。
絵柄と位置は、別の問題として扱ったほうが早く進みます。位置で止まっているのに絵柄ばかり比較していると、時間をかけても前に進みません。自分がどちらで止まっているのかを、先に切り分けます。
絵の内容が決まらないと、発注も生成の指示も書けません。位置が決まったら、その場面で何が起きているかを一言で書き出しておくと、絵の内容も決めやすくなります。
シリーズや複数冊で表紙・挿絵の絵柄をそろえるには
1冊ずつ作っていると気づきにくいのですが、冊数が増えると表紙や挿絵の絵柄が本ごとにばらつきます。使う道具を変えたり、時期によって好みが動いたりすることが理由です。
そろえるには、前の本と並べて確認する工程を手順に加える必要があります。作った直後の1冊だけを見ていると、この確認は抜け落ちます。
使った配色や設定を記録しておくと、次の本を作るときに参照できます。記録がないと、毎回イチから雰囲気を作り直すことになります。実際にそろわなくなった経緯は冊数が増えると表紙がそろわない話やシリーズの絵柄をそろえる話で扱っています。読者が最初に受け取るのは文字より絵の情報なので、そこがそろっていないと別々の本に見えてしまいます。
表紙と挿絵は、別の工程として扱われがちです。同じ本の中でそろえるという判断が、どちらの工程にも属さないまま抜け落ちることがあります。1冊の中でも、表紙と挿絵の雰囲気を合わせる確認を手順に加えておきます。
つまずきやすい点
- 無料の画像編集ソフトの操作を覚えるだけで時間を取られる
- 短辺500ピクセル以下の表紙をアップロードして、ストアに表示されないことにあとで気づく
- 表紙と挿絵を別の工程・別の日に作るため、同じ本の中でそろえる判断が抜け落ちる
- 挿絵の枚数を決めないまま作り始めて、途中で止まる
- 表紙にかけた時間の長さと、出来のよさが比例すると思い込み、判断基準がないまま時間だけを使う
- 「セール中」「期間限定」のような販促文言を表紙に入れてしまい、差し戻しの対象になる
これらは能力の不足ではなく、確認する工程が手順に入っていないことが原因です。順番を決めておけば、同じつまずきは避けられます。作る手順と、前の本や他の本と並べて確認する手順は、別のものとして分けて考えます。技術要件の違反は見た目では気づきにくく、提出してから初めて分かることもあります。
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表紙は30種以上のテイストから選ぶ形式で、ジャンルに応じた型をあらかじめ用意しています。配色や書体をゼロから決める作業は発生しません。
挿絵は50種以上のタッチから選べます。1冊あたりの挿絵の箇所数はプランに応じて3か所・8か所・15か所です。本文から挿絵を入れる候補を抽出するため、原稿を読み返して位置を探す作業を減らせます。
同じプロジェクト内で選んだテイストやタッチは記録として残るため、複数冊にまたがるシリーズでも絵柄をそろえやすくなります。選び直した場合も、前の本でどのテイストを使ったかをさかのぼって確認できます。