コラム

冊数が増えるほど、表紙の品質が本ごとにそろわなくなる

Kindle出版を量産する作家の著者ページで、冊数が増えるほど表紙の雰囲気が本ごとにそろわなくなっていく理由を説明する記事です。記録が残らないことが根にあることを扱います。

親ガイド: Kindle表紙と挿絵の作り方、KDPの規定と手順

10冊目の表紙が、1冊目と別人の仕事に見える。

出した本を並べてみると、気づくことがある。1冊目は時間をかけて作った。3冊目あたりから手が慣れてくる。5冊目は締切が近くて妥協した。7冊目は使っている道具を変えたので、雰囲気が変わった。1冊ずつ出しているあいだは、この差が見えない。作っている最中はその1冊のことしか見ていないので、前の本との比較が視野に入らない。並べて初めて、違いが目に見える。

出したあとに直す気にもなりにくい。その本の作業はもう終わっていて、次の本が動いている。過去に戻る理由が弱いので、そのまま残る。すでに出した数冊を作り直すとなると、それ自体が1冊分の作業になる。放置するか、大きく手を戻すかの二択になりやすい。

読者の側は、著者ページで並べて見る。1冊を気に入った人が他の本も見に来たとき、そこで受け取るのは1冊ずつの出来ではない。並びとしての印象になる。そろっていないと、続きものなのか別々の本なのかが分かりにくい。

差が出る理由は、好みが変わったことだけではない。毎回その本に合うものを考えて作っていると、判断の軸が本ごとに動く。前回どういう理由でその表紙にしたかも、覚えていない。記録を残していないので、次の1冊で参照できるものがない。

道具を変えるとさらにずれる。画像生成の指示文は道具ごとに癖があるので、同じことを書いても出てくるものが違う。表紙を作るツールだけでも、複数が並べて紹介されている。乗り換える機会はいくらでもある。乗り換えるたびに、以前と同じ雰囲気を出すための調整が要る。その調整も記録に残らない。

技術要件のほうも、毎冊ついて回る。KDPのガイドラインでは、推奨寸法は高さ2,560×幅1,600ピクセル。解像度は300DPI以上。ファイルは5MB以下。カラープロファイルはRGBで、印刷用のCMYKは受け付けない。短辺が500ピクセル以下だと、アップロードはできてもサイトに表示されない。冊数を出すほど、この確認を繰り返すことになる。確認に気を取られるほど、そろっているかどうかの判断は後回しになる。

時間の配分も影響する。冊数を増やすほど、1冊あたりにかけられる時間は減る。表紙は終盤の工程なので、締切が近いときにいちばん削られる。削られ方が本ごとに違うので、かけた時間にもばらつきが出る。

そろえようとして自分で規則を決めても、続きにくい。書体を統一する、色の系統を決める。そうした規則は、作るときに参照しないと意味がない。参照する手間があると、忙しい回で飛ばされる。飛ばした回だけがずれて、あとから直すことになる。そして、あとから直す機会は来ない。

挿絵まで含めると、そろえる対象はさらに増える。表紙は1冊に1枚なので気にする。挿絵は本文に合わせて何枚も入る。1枚ずつ作っていると、同じ本の中でも絵柄がそろわないことがある。表紙と挿絵が別の工程になっていると、同じ本の中でそろえるという判断も抜け落ちやすい。

記録が残らないことが、根にある。どの設定で作ったか。どの指示文を使ったか。どの色を選んだか。作っている最中は覚えているが、次の本に取りかかるころには思い出せない。実際にまとめた人の手順を読むと、原稿、下書き、最終原稿に加えて表紙画像を段階ごとに管理する話が出てくる。置き場所は分けていても、判断の理由までは残していないことが多い。

確認の工程が手順に入っていないことも大きい。作る手順は決まっているのに、前の本と並べて見る手順は誰も決めていない。やらなくても1冊は完成するので、抜けても気づかない。

冊数を出す進め方ほど、並びの見え方が効いてくる。1冊ずつの完成度で勝負していないぶん、読者が受け取るのは並びとしての印象になる。そこがどう見えているかを、自分では確かめていないことが多い。作る側の視点と、著者ページを開いた人の視点は、そもそも並び方が違う。

気づかないまま冊数が増えると、直す機会も減っていく。新しい本が出るたびに、過去の分を作り直す動機は薄れる。そろえるかどうかを決めるなら、次の1冊に取りかかる前になる。

今日できることもひとつ。自分の著者ページを開いて、出した本を並べて見てみる。続きものだと分かるか。同じ人が書いたものに見えるか。見えないなら、そろえる工程が手順の中に入っていない。過去の分を直すより、次の1冊から基準を決めるほうが早い。

出版ラクダではどうなるか

出版ラクダは、原稿を入れるだけで目次・本文整形・表紙・挿絵・販売文を生成し、EPUB/Kindle入稿用EPUB/PDFまで書き出す、買い切り型のKindle出版支援Webサービスです。冊数を重ねるほど表紙の雰囲気がそろわなくなりますが、出版ラクダは30種以上の表紙テイストから毎回選ぶ形なので、選んだテイストを記録しておけば次の1冊でも同じ系統を選び直せます。画像枠はプランごとに20枚・40枚・60枚まであります。

よくある質問

冊数を重ねると表紙の統一感が崩れるのはなぜですか?
毎回その本に合うものを考えて作るため判断の軸が本ごとに動くうえ、前回どんな理由でその表紙にしたかという記録も残っていないことが多いためです。
表紙がそろっているかは、どこで確認すればよいですか?
作っている最中は1冊ずつしか見ていないため気づきにくく、著者ページを開いて並べて見たときに初めて分かります。