コラム

挿絵で迷うのは絵柄ではなく、どこに入れるかのほうだ

挿絵を入れる作業で時間を取られるのは絵柄選びではなく、どこに何枚入れるかという位置の判断です。基準がないまま、なんとなく等間隔に置いて終わることになりがちです。

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挿絵で時間を取られるのは、絵柄ではなく位置のほうだ。

記事をまとめて本にすると、文字ばかりのページが続くことに気づく。画面で1本ずつ読んでいたときは気にならなかった。通して読むと単調に見える。どこかに絵が要るのではないか、と考え始める。絵を入れるかどうかで迷うのは、必須ではないからでもある。無くても本は成立するので、後回しにする理由がいくらでも作れる。優先度が下がったまま、判断だけが残り続ける。

そこで手が止まる。絵を入れること自体は決めたが、どこに入れるかが決まらない。全部の章に1枚ずつ置くのか。話が変わるところに置くのか。長い節の途中に挟むのか。基準がないまま、なんとなく等間隔に置く案を作って、しっくり来ないまま閉じる。

絵柄の話だと思っている人も多い。実際に時間を取られるのは位置のほうだ。絵柄は好みで決められる。選べば終わる。位置は本文の内容と関係するので、全体を読み返さないと決められない。まとめたばかりの原稿を、また通して読むことになる。いちばん読み返したくない時期に、通読が要求される。

読み返しても決まらないこともある。ここに絵があるといい気がする、という感覚はあっても、何の絵かまでは出てこない。絵の内容が決まらないと発注もできないし、生成の指示も書けない。感覚と作業のあいだに、埋まらない距離がある。

数の見当がつかないのも効く。5枚でいいのか20枚要るのか、判断する材料がない。多ければいいものでもない。少なすぎると入れた意味がない。他の本を開いて数えてみても、ジャンルによってばらばらだ。入れすぎると読み物として散漫になる。少なすぎると入れた理由が伝わらない。ちょうどいい数があるはずだと思って探すが、その基準はどこにも書かれていない。自分で決めるしかないのに、決める材料がない。

道具の話も、ここに乗ってくる。表紙を作るツールだけでも、複数が並べて紹介されている。挿絵まで含めるとさらに増える。どれを使うかを決める前に、どこに何枚要るかが決まっていないと、道具の比較にも意味が出ない。順番としては位置が先なのに、目に入るのは道具の情報ばかりになる。

この工程が重いのは、判断が本文の理解に依存しているからだ。書いた本人は内容を知りすぎていて、どこが読者にとって重い箇所かを見分けにくい。自分の原稿を、初めて読む人の目で見る作業が求められている。何度も読み返しているほど、その視点は持ちにくくなる。

結局、挿絵は後回しになる。文字だけでも本にはなるので、今回は無しでいい、と決めて出す。悪い判断ではない。ただ、単調に見えるという最初の懸念は残ったままになる。読み返すたびに、そこが気になり続ける。

終わりの判定ができないことも、後回しの理由になる。何枚入れれば完了なのかが決まっていないので、始めても終われない。終われない作業は、締切が近いときにいちばん先に落ちる。落とした理由は「時間がなかった」になるが、実際には基準がなかったことのほうが大きい。

表紙とのつながりも、あとで効いてくる。表紙だけが浮いている本や、挿絵ごとに絵柄が違う本は、まとまりのなさが読者にも伝わる。ところが表紙と挿絵は、別の工程として別の日に作ることが多い。同じ本の中でそろえるという判断が、工程をまたぐせいで抜け落ちる。出したあとに並べて初めて、ちぐはぐさに気づくことになる。

直すのも簡単ではない。1枚だけ差し替えると、その1枚だけが浮く。全部を作り直すと、それ自体が1冊分の作業になる。だから多くの場合、そのまま置かれる。気になったまま残る箇所が、本ごとに1つ2つ増えていく。

位置と絵柄を、別々の問題として扱ったほうがいい。絵柄は好みで、いつでも決められる。位置は本文を読まないと決められない。このうち止まっているのが位置のほうなら、絵柄をいくら比べても前に進まない。自分がどちらで止まっているのかを、先に切り分ける話になる。

枚数の基準も、本の長さから逆算するしかない。ジャンルの平均を探しても出てこないので、自分で決めることになる。決めた基準に自信が持てないと、また迷う。迷った回数だけ、着手が遠のく。

今日できることもひとつ。まとめた原稿の中で、読んでいて息が詰まる箇所を1つ探してみる。長い説明が続いているところ、話題が切り替わるところ、専門的な語が続くところ。1つ見つかれば、それが最初の1枚を置く場所になる。位置の基準は、そこから作れる。

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よくある質問

挿絵は何枚くらい入れればいいですか。
本文では明確な基準はないとされ、本の長さから逆算するしかないと述べられています。ジャンルによってもばらつきがあります。
挿絵の位置はどうやって決めればいいですか。
絵柄は好みで決められますが、位置は本文の内容と関係するため読み返しが必要です。読んでいて息が詰まる箇所を1つ探すのが最初の手がかりになります。