コラム

本文が書けないのではなく、目次が決まらないから始まらない

本文が書き始められないのは、目次・章立ての並びが決まらないからです。順番の良し悪しは書いてみないと分からないという循環があり、材料はそろっているのに並べる工程だけが手つかずのまま残ります。

親ガイド: 目次・章立ての作り方。Kindle本の設計図を作る手順

本文より先に、目次で止まる。

原稿を書こうとして最初に開くのは、白い本文のファイルじゃない。たいていは目次のほうだ。第1章に何を置くか。そのあとに何が続くか。全部でいくつの章にするか。ここが決まらないと本文の1行目が書けない。だからまず章立てを考える。ところが考え始めると、どの並びにも言い分があるように見えてくる。決め手が出てこない。紙に書き出してみる。翌日読み返すと、別の順番のほうがよく見える。

そのうち、章立てを決めるという作業そのものが目的になっていく。ノートには案が3つも4つも並んでいる。どれも採用していない。本文はまだ1文字も書いていない。書く気がないわけじゃない。書き始める入口が決まらないだけだ。そうしているうちに数週間が過ぎ、最初にあった勢いが薄れていく。人に話すと、まず書いてみればいいと言われる。それができないから止まっている。なぜできないのかを自分でもうまく説明できない。

目次が決まらないのは、構成力が足りないからとはかぎらない。順番を決める作業には、正しさを確かめる方法がないからだ。その並びが読みやすいかどうかは、書いてみないと分からない。しかし書くには順番が要る。この循環の中にいると、判断の材料が永久にそろわない。先に順番が要るのに、順番の良し悪しは後からしか分からない。決まらないのは当たり前だ。材料が出てくる順序のほうがそうなっている。

もうひとつ、目次は一度決めたら戻れないものだと思い込みやすい。実際には本文を書きながら入れ替えればいい。でも最初の1冊ではその感覚がない。だから慎重になる。慎重になるほど決まらなくなる。工程が分かれていることも効いてくる。目次を考える時間と本文を書く時間が別々に置かれていると、行き来しながら少しずつ直すという進め方ができない。人に相談しても、たいてい解決しない。他人には自分の材料の中身が見えていないので、返ってくるのは一般論になる。判断できるのは自分だけなのに、その判断の基準を持っていない。

結果として、本を出すまでの工程のうち、かなり手前で止まることになる。本の題材を決め、原稿の材料を集めるところまでは進んだ。そこから先へ行けない。書けないんじゃない。書き始める許可が自分から出ない状態になっている。工程の名前だけは分かっているのに、そこから先へ進む方法が分からない。時間がないわけでもない。手元に残るのは、決まらない章立ての案だけだ。

ここで多くの人が、もうひとつの罠にはまる。完成した形を先に思い描いてしまうことだ。いきなり1冊分の完成形を目指すと、手持ちの材料がどれも足りなく見えて、着手そのものができなくなる。最初から「完成させよう」とすると詰む、という指摘は、実際に出版まで進んだ書き手のあいだから出ている。単位を小さく取り直すほうが先に進む、という話でもある。

単位を取り違えると、量の判断も狂う。1冊分を書けるかと問われれば無理だと感じる。この話題について2ページ書けるかと問われれば書ける。同じ人が、単位の大きさだけで別の答えを出す。実際の本は、章と節に割れている。ひとつの節はもっと短い。手元の断片は、節としてなら十分に成立していることが多い。

章立てに型があること自体は、実は公開されている。共通のテーマで記事や材料を3〜5本選び、序章、本論3章、結論という5部構成に割り当てる。そういう手順を書いている人がいる。つまり、知らなかったから決まらなかったのではない。型は手に入るのに、自分の原稿に当てはめる作業が重い。そこが本当の障壁になっている。

決め手がないという感覚も、正体を分けて見たほうがいい。案がゼロの状態と、案がひとつある状態は、別物だ。比べる対象があれば、どこが気に入らないのかを言葉にできる。悪い点を挙げれば、それがそのまま直す指示になる。ゼロのときだけ、好みの問題にすら降りてこない。だから止まる。判断する作業は、考え出す作業より軽い。重いのは、最初のひとつを白紙から出すところだ。一度でも通しで並べた経験があれば、次からは軽くなる。並べ替えられるものだと体で分かるからだ。最初の1冊だけが、その前提を持たずに始まる。

今日できることもひとつ。書きかけの原稿を開いて、章の候補をいくつ書き出せるかを数えてみる。3つ書き出せるなら、章立ての材料はもう手元にある。あとは並べる工程が残っているだけだ。書き出せなければ、足りないのは並べ方ではなく材料のほうだと分かる。そこが書き足す先になる。

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よくある質問

本の章立てを考えるときの基本的な型はありますか?
共通のテーマで材料を3〜5本選び、序章・本論3章・結論という5部構成に割り当てる型があります。
1冊分の文章量を書けるか不安なときはどう考えればいいですか?
1冊分を一度に考えるのではなく、章や節という小さい単位で考えると判断しやすくなります。実際の本は章と節に割れており、ひとつの節はもっと短い単位です。