コラム

記事をまとめると、自分が何度も書いていた話が見えてくる

記事の重複を整理する作業は、全部を読み返して見比べる人力作業のままでは終わりません。章立てに割り当てて考えると、重複は削る対象ではなく、本の背骨になる候補として見えてきます。

親ガイド: 目次・章立ての作り方。Kindle本の設計図を作る手順

同じことを何度も書いている。それは本にする前に気づける。

長く書いていると、似た話を何度か書くことになる。読者は毎回同じ人ではない。その時々で書きたい角度も違う。だから重複そのものは自然に生まれる。記事として並んでいるあいだは、それで困らない。むしろ、同じ話に何度も戻るのは自然なことでもある。関心が続いているから書けるのであって、そこに自分の主題が出ている。書いている最中は、それを重複だと思っていない。

困るのは本にするときだ。同じ主張が第2章と第5章に出てくると、読者は前に読んだ話に戻された気分になる。1冊を通して読む前提では、重複は水増しに見える。だから本にする前に整理が要る。

ところが、この整理が終わらない。どれとどれが同じことを言っているのかを調べるには、全部を読み返すしかない。数十本あれば、読み返すだけで何日もかかる。しかも読んでいるうちに、細部が違うので同じとも言い切れなくなってくる。

判断の基準がないのも効いてくる。完全に同じ文章なら消せばいい。たいていは角度が少しずつ違う。片方を残すのか。混ぜて1本にするのか。両方置いて役割を分けるのか。全体の構成が決まっていないと、この判断ができない。

そして構成を決めるには、どこに何が入るかを知っている必要がある。重複を整理しないと構成が決まらず、構成が決まらないと重複を整理できない。この行き止まりに何度か入ると、記事一覧を開く気がなくなる。抜け道があるとすれば、片方を仮に決めて進めることだが、仮に決めた並びが正しいかどうかも確かめようがない。

自分の記憶があてにならないことも分かってくる。あの話はどこかで書いた、という感覚はあるのに、どの記事だったかが出てこない。検索しても、使った言葉が違えば引っかからない。同じ内容を別の言い回しで書いていた場合、機械的には見つけられない。手元にあるはずのものを、自分で見つけられない状態になる。

人に頼めるものでもない。他人が読んでも、どれとどれが同じ主張なのかは判断できない。言い回しが似ているだけの別の話と、言い回しが違うだけの同じ話を、外から見分けるのは難しい。書いた本人にしか分からない作業なのに、その本人が全部を覚えていない。

重複が怖いのは、放っておくと本の質に直接出るからでもある。読み返さずに1冊へまとめると、同じ話が並んだ状態で世に出る。それを避けたいから慎重になり、慎重になるほど着手が遅れる。慎重さが、そのまま先送りの理由になっている。

実務の手順としては、共通のテーマで記事を3〜5本選ぶところから始めるやり方が知られている。序章、本論3章、結論という5部構成に割り当てる、という手順だ。ただし、選ぶ以上、似たものを見比べる作業は避けられない。型が公開されていても、その比較だけは自分の記事を全部知っていないとできない。

通読を前提にしていることも、着手を重くしている。途中でやめると、そこまで読んだ分の記憶が次までもたない。半分読んだところで1週間空けば、また最初から読み直すことになる。だから、まとまった時間が取れる日を待つことになり、その日が来ない。区切りを自分で作れない作業は、細切れの時間では進まない。

結局、書く力とは関係のないところで止まっている。文章はすでにある。足りないのは、全体を見渡して同じものを見つける工程だ。この工程だけが人力のまま残っていて、しかも本人以外には代われない。

探せないという問題は、置き場所からも来ている。サービスから書き出したテキスト、手を入れかけのWordの原稿、講演用に作ったPDF、圧縮したまま開いていないフォルダ。置き場所がばらばらだと、そもそも全部を並べたことがない。同じ話を2回書いたかどうかは、並べて初めて分かる。並べていないので、疑いだけが残り続ける。

量の把握ができていないことも効く。何本書いたかは分かっても、どのテーマが何本あるかは数えたことがない。重複が多いのか少ないのかも、感覚でしか答えられない。整理の作業量が見積もれないと、着手する日を決められない。いつ終わるか分からない作業は、予定表に置けない。

見方を変えると、重複は欠陥ではない。同じ話を何度も書いていたのは、それが自分にとって大事な主題だったからだ。1冊にまとめるとき、その主題は中心の章になる。削る対象として数えるか、背骨の候補として数えるかで、同じ事実の意味が変わる。

今日できることもひとつ。過去に書いたものの中から、何度も触れているテーマを1つ思い出してみる。思い出せたなら、それが本の背骨になる候補だ。思い出せないなら、確かめるべきは重複の有無ではなく、全体を一覧で見たことがあるかどうかになる。

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よくある質問

記事の重複はどうやって見つければいいですか。
全部を読み返して見比べるのが基本の方法ですが、それだけでは数十本あると何日もかかります。章への割り当てを先に考えると、同じ主題がどこにあるかが見えやすくなります。
重複している記事はどちらか一方を消すべきですか。
完全に同じ文章でなければ、片方を残す・混ぜて1本にする・役割を分けて両方残す、のいずれもあり得ます。判断には本全体の構成が必要です。