コラム

商業出版の企画を待つあいだに、手元でできることがある

商業出版の企画結果を待つあいだ、手元でできる準備作業があるのに進めていないことが多い、という状態を説明する記事です。資料集めや目次案づくりなど、返事を待たずにできる工程を扱います。

親ガイド: 原稿の準備と取り込み方。Kindle本の材料にする手順

企画が通るのを待つあいだ、こちらの手は空いている。

商業出版を目指すのは、悪い選択ではない。編集者がつき、書店に並び、事務所の信用にもなる。ただ、進み方が自分の手の内にない。企画書を出してから返事が来るまでの時間も、通るかどうかも、こちらでは決められない。待っているあいだ、他の予定は普通に進む。相談は入るし、セミナーの依頼も来る。忙しさは変わらないのに、本の話だけが宙に浮いた状態で置かれる。

その待ち時間に、たいてい何もしていない。企画が通ったら本格的に書き始めよう、と考えて手を止める。通らなかった場合のことは、そのときに考えることにする。問題は、この待ち時間が短くないことだ。返事が来るまでに数か月、通ってから刊行までにさらに時間がかかる。そのあいだ、事務所の集客に本は寄与しない。相談の場で渡せるものも、以前と同じままだ。

しかも、待っているあいだにできる作業は実際にある。手元の資料を集めること。話す順番を整理すること。誰に向けた本かを決めること。どれも企画の可否とは関係なく進められるし、通ったときにはそのまま使える。にもかかわらず動かないのは、区切りがついていないからだ。企画の返事という区切りを待つあいだ、中途半端に手を付けるのは無駄に思える。全部やり直しになるかもしれない、という気持ちも働く。

通らなかったときの落差も大きい。数か月待って断られると、そこで一度話が終わる。また別の企画を考えるか、諦めるかの判断になり、そのあいだにさらに時間が過ぎる。手元には何も残らない。待っていただけなので、次に使える材料も増えていない。何度か断られると、企画を出すこと自体が億劫になる。準備の労力に対して、返ってくるものが不確実だからだ。本を出す話が、事務所の中で自然に消えていく。

別の道を検討しても、判断材料が偏っている。各社が公表している相場では、文章がメインの書籍で最低100万円程度、企業出版なら安くても300万円という数字が並ぶ。売る側が自社サイトに出している数字なので、割り引いて見る必要がある。しかも紙の書籍が前提なので、電子で出す場合とは条件が違う。比較しようにも、そろった土台がない。だから、待つ以外の選択肢を具体的に検討しにくい。

事務所の側から見れば、この期間は機会を逃していることになる。本があれば渡せた相談が、いくつか通り過ぎている。数字には出ないが、失っているものはある。しかも、失った分は記録に残らない。だから待つことのコストが、後から検証されることもない。

予定の立て方にも影響する。いつ出るか分からないので、いつ何を仕掛けるかを決められない。セミナーの日程も、相談が増える時期も分かっているのに、本だけがその計画に組み込めない。外部の返事待ちが1つあるだけで、事務所側の動きも止まる。

手元の作業が進まないのは、区切りの問題だけでもない。資料は案件ごとのフォルダに散らばっている。スライド、Word、PDF、配布用に作った印刷物。集めるだけで半日が要るので、待ち時間があっても着手できない。待っているから進まないのか、そもそも重いから進まないのか。切り分けないまま、企画の返事のせいにしていることがある。

整理の手順そのものは公開されている。共通のテーマで材料を3〜5本選び、序章、本論3章、結論という5部構成に割り当てる。そういう方法を書いている人がいる。読めば分かる話だし、難しいことも書いていない。それでも動かないのは、選ぶために全部を開く必要があるからだ。手順の1行目が、いちばん重い。

誰に向けた本かを決める作業も、待ち時間にできる。扱っている分野を書き出して、いちばん相談が多いものを1つ選ぶ。決まっていれば、企画が通ったときの相談も早い。通らなくても、その判断は残る。

だから、待つこと自体が問題なのではない。待っているあいだに手元で何も進んでいないことのほうが問題になっている。進めておけば、通ったときは目次案として使える。通らなかったときは、別の出し方を検討する材料になる。どちらに転んでも使える作業があるのに、区切りを待って手を止めている。

今日できることもひとつ。企画書を出してから何日経ったかを数えてみる。その日数のあいだに、資料を集める作業なら終わっていたかもしれない。まだ企画を出していないなら、順番はもっと自由に決められる。待つと決めた場合でも、この日までに返事がなければ動く、と期限を先に決めておくといい。

出版ラクダではどうなるか

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よくある質問

商業出版の企画結果を待つあいだ、何をしておけますか?
資料を集めること、話す順番を整理すること、誰に向けた本かを決めることは、企画の可否と関係なく進められます。通った場合はそのまま目次案として使えます。
企画が通らなかった場合、準備は無駄になりますか?
資料整理や読者像の検討は、別の出し方を検討する材料としてそのまま使えます。何も進めずに待つと、通らなかったときに手元に何も残らない状態になります。