コラム

冊数が増えるほど効いてくるのは、ツール間のコピペ回数だ

Kindle出版を量産する作家が、冊数を増やすほど効いてくるのは執筆速度よりツール間のコピペ回数であることを説明する記事です。道具をまたぐ受け渡しのたびに起きる崩れと事故を扱います。

親ガイド: Kindle出版の全手順。6工程とKDP公開までの流れ

ツールをまたぐたびに、コピペが1回挟まる。

何冊か出していると、自分なりの手順ができてくる。章立てはこの道具。本文の整形は別の道具。表紙は画像生成。最後に変換ツールでEPUBにする。それぞれ単体では使い慣れていて、迷うところはない。手順が固まっているのは、試行錯誤の結果でもある。何冊か出すうちに、自分に合う道具の組み合わせが決まってくる。1つずつは最適なものを選んでいる。

実際、役割ごとに道具を分けるのは広く紹介されているやり方だ。企画と構成、そして執筆はこのAI。長文の執筆は別のAI。リサーチはまた別。表紙はデザイン系のサービス。構成づくり、ドラフト生成、推敲補助と役割分担するのが主流だ、という記述もある。表紙を作るツールだけでも、複数が並べて紹介されている。分けること自体は合理的で、問題はそのあいだにある。

受け渡しのたびに、貼り付けが発生する。ひとつの道具から出したものを、次の道具に貼り付ける。書式が落ちる。改行が変わる。記号が置き換わる。貼るたびに小さな崩れが起きて、そのたびに直す。1回あたりは数分の作業だ。だから問題として認識されにくい。ただ、1冊につき受け渡しが何度も発生し、それが冊数だけ繰り返される。冊数が増えるほど、この部分が全体に占める割合が上がっていく。

事故が起きるのも、たいていここだ。前の版を貼ってしまう。章をひとつ飛ばす。直したはずの箇所が古いまま残る。作業自体が単調なので注意が続かず、間違えても気づきにくい。気づくのが出したあとになることもある。読者からの指摘で初めて分かると、直して出し直す手間に加えて、印象の面でも損をする。

直しても、その場では確かめられない。解説サイトによれば、審査結果の通知が来るまでに24〜72時間かかる。貼り付けの崩れが原因で差し戻されると、直して再提出し、また1日から3日待つことになる。1回の見落としが、そのまま数日の停滞になる。

確認の作業も単調だ。すでに何度も読んだ文章を、間違い探しのつもりでもう一度読む。集中が続かないので、確認したはずの箇所を見落とす。確認を増やしても、精度がその分上がるわけではない。むしろ、確認したという記憶だけが増える。

道具ごとに置き場所が分かれることも効く。原稿はここ。画像はあのフォルダ。変換後のファイルはダウンロードの中。実際にまとめた人の手順を読むと、原稿、下書き、最終原稿と段階ごとにフォルダを分ける話が出てくる。そこに表紙画像、商品説明、EPUBが加わる。冊数が増えると、どの本のどの版がどこにあるかが分からなくなる。

慣れているぶん、改善の対象として見えにくい。手順が固まっていると、そこに時間がかかっていること自体を疑わなくなる。書く速度を上げる工夫はしていても、受け渡しの回数を減らす工夫はしていない。そういう状態になりやすい。1冊あたりの所要時間が下がらない理由が、ここにあることは多い。

細かい修正が積み上がると、時間の中身も変わる。崩れを直す時間は、本をよくする時間ではない。同じ1時間でも、直しに使うのと書くのに使うのとでは、残るものが違う。作業の総量は変わらないのに、成果として残る割合だけが下がっていく。

覚える対象が道具の数だけ増えるのも効く。道具ごとに指示の書き方が違う。画面の構成も違う。設定の場所も違う。1つを使いこなしても、次の工程では別の癖を覚え直すことになる。しかも道具の側は更新される。しばらく空けると、画面も操作も変わっている。冊数を出していても、工程ごとには久しぶりの操作になることがある。

手順を人に説明しにくいのも、この形の副作用だ。道具が4つに分かれていると、どこまで進んだかを共有するのに4か所の話をすることになる。誰かに手伝ってもらう場面でも、前提を伝える手間が大きい。結果として、全部を自分で抱えることになる。冊数の上限が、そこで決まる。

だから、比べるべきは書く速度ではない。書いていない時間が1冊あたりどれだけあるか。そこが見えていないと、伸びしろの場所も分からない。冊数を増やすほど、この差は開いていく。

今日できることもひとつ。直近の1冊で、道具から道具へ貼り付けた回数を思い出してみる。その回数が、いま削れる可能性のある部分だ。数えてみて少ないと感じるなら、いまの手順は悪くない。多いと感じるなら、そこが1冊あたりの時間を押し上げている。

出版ラクダではどうなるか

出版ラクダは、原稿を入れるだけで目次・本文整形・表紙・挿絵・販売文を生成し、EPUB/Kindle入稿用EPUB/PDFまで書き出す、買い切り型のKindle出版支援Webサービスです。道具を分けるほど、受け渡しのたびに貼り付けの崩れが起きます。出版ラクダは目次・本文整形・表紙・挿絵・販売文の生成からEPUB書き出しまでを一つのサービス内で行うので、道具をまたぐコピペの回数そのものを減らせます。出力はMarkdown・PDF・EPUB・Kindle入稿用EPUBで、回数無制限です。

よくある質問

ツールを複数使い分ける本づくりで起きやすい問題は何ですか?
道具から道具へ原稿や画像を貼り付けるたびに、書式や改行が崩れやすくなります。1回は小さな作業でも、冊数分繰り返すと全体に占める時間の割合が上がっていきます。
貼り付けの崩れが原因で審査に差し戻された場合、どうなりますか?
直して再提出したあと、審査結果の通知を再び待つことになります。1回の見落としが、そのまま数日の停滞につながります。