コラム

出し直しに費用がかかると、本の質は上げ止まってしまう

出し直しに手間や待ち時間がかかると、誤字や構成の直しが先送りされ、本の質がそのまま上げ止まってしまう構造を説明する記事です。差し戻しが重なるほど確認が厚くなる悪循環を扱います。

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作り直すたびに枠が減るなら、直さなくなる。

出したあとに誤字を見つけることがある。読者から指摘されることもあれば、自分で読み返して気づくこともある。直すべきなのは分かっているが、手を付けるかどうかはそのときの条件で決まる。条件のひとつが、出し直しにかかるコストだ。変換をやり直す手間。確認にかかる時間。使える回数を消費するかどうか。ここが重いと、誤字ひとつのために動く気になれない。次に何か直すときにまとめてやろう、と先送りする。

先送りしたものは、たいてい戻ってこない。次の本の作業が始まると、前の本に戻る理由がなくなる。誤字はそのまま残り、読んだ人の印象にだけ影響し続ける。指摘してくれた読者にも返せない。直しますと言ったまま何か月も経つと、次から指摘されなくなる。改善の材料が届く経路が、そこで細くなる。

待ち時間も、判断を重くする。解説サイトによれば、審査結果の通知が来るまでに24〜72時間かかる。誤字ひとつ直して出し直しても、通るまでに1日から3日は要る。そのあいだ、直した版が並ぶわけではない。手間と待ち時間の両方を払って、変わるのは1文字ということになる。割に合わないと感じるのは、感覚としては自然だ。

これは、直す気がないから起きているのではない。直すことのコストが、直したい気持ちより重いから起きている。だから気合いでは解決しないし、冊数が増えるほど条件は悪くなる。質を上げる工程にも同じことが起きる。出したあとに構成を少し変えたい、章のタイトルを分かりやすくしたい。そういう改善は、出し直しが軽くないと実行されない。

量産している人ほど、この影響が大きい。1冊ずつ完璧に仕上げるより、出してから直すほうが全体では効率がいい場面が多い。ところが出し直しが重いと、その進め方が選べない。結果として、1冊目に力を入れすぎることになる。あとから直せない前提だと、出す前の確認を厚くするしかない。確認の時間が増えて、冊数のペースが落ちる。質を守るために、量が犠牲になる。逆に、確認を軽くして数を出すと、直せないまま残る本が増える。どちらを選んでも、出し直しのコストが判断を歪めている。

差し戻しがあると、さらに重くなる。Kindleの審査で差し戻される原因として挙げられているのは、本文のレイアウトが崩れている、余分な空白ページが残っている、目次のリンクが切れている、といった点だ。原因を特定して直し、再提出し、また通知を待つ。1回の差し戻しで、数日と手間が消える。この経験があると、出す前の確認をさらに厚くしたくなる。慎重になるほど、1冊にかかる時間が伸びていく。

出したあとの情報も、使えないまま流れる。本来なら、出してから直すほうが早く良くなる。読者の反応という、自分では手に入らない情報が使えるからだ。それを使えるかどうかが、出し直しのコストで決まっている。コストが高いと、届いた反応をどう扱うかの判断が毎回発生する。判断そのものが負担になり、やがて見なくなる。

版が増えることも、出し直しを重くする。直した版と、直していない版が手元に並ぶ。実際にまとめた人の手順を読むと、原稿、下書き、最終原稿と段階ごとにフォルダを分ける話が出てくる。そこに表紙画像、商品説明、EPUBが加わる。冊数が増えるほど、どれが最新かを自分で覚えておくことになる。古い版を出し直してしまう事故は、この積み上がりから起きる。

一度その事故を起こすと、次から確認が増える。出し直すたびに、全部の版を突き合わせてから提出することになる。安全にはなるが、1回あたりの手間はさらに重くなる。慎重さが、そのまま先送りの理由に変わっていく。

複数の道具をまたいでいると、やり直しの範囲も広がる。本文を直せば、変換をやり直す。目次が変われば、リンクを確認し直す。1文字の修正が、工程をいくつも遡る作業になる。

だから、確かめるべきは気力ではない。いま抱えている「直したいが直していない箇所」が、何個あるか。その数が多いほど、直す気がないのではなく、直す経路が重いということになる。1冊ずつの話ではなく、抱えている総量の話だ。

今日できることもひとつ。すでに出した本の中から、直したいところが残っているものを思い出してみる。いくつ抱えているかを数えておくと、判断の材料になる。3つを超えているなら、直す気力より、直す手順のほうを先に見直したほうが早い。

出版ラクダではどうなるか

出版ラクダは、原稿を入れるだけで目次・本文整形・表紙・挿絵・販売文を生成し、EPUB/Kindle入稿用EPUB/PDFまで書き出す、買い切り型のKindle出版支援Webサービスです。出し直しのコストが高いと、直したい箇所があっても手が止まります。出版ラクダはMarkdown・PDF・EPUB・Kindle入稿用EPUBへの書き出しが回数無制限なので、誤字や構成の直しを反映した版を何度でも出力し直せます。

よくある質問

出し直しのコストが高いと、なぜ本の質が上がりにくくなりますか?
誤字や構成の直しは、変換のやり直しや審査の再待機といった手間を伴います。手間が重いほど、直したい気持ちより先送りする判断が勝ちやすくなるためです。
Kindleの審査で差し戻される代表的な原因は何ですか?
本文のレイアウト崩れ、余分な空白ページ、目次のリンク切れなどが挙げられています。差し戻されるたびに、原因の特定・修正・再提出・通知待ちが発生します。