Kindle本は、紙の本のようにページの位置が固定されていません。読者が文字サイズや端末を変えると、本文の折り返しもそれに合わせて変わります。この仕組みは リフロー型 と呼ばれ、固定レイアウト型(コミックや絵本など、ページの見た目をそのまま固定する形式)とは扱いが異なります。
本文整形は、このリフロー型の仕組みの上で、見出し・改行・文体を本全体でそろえる作業です。見出しの構造が崩れていると、端末によっては意図しない形にレイアウトが折り返されます。
本文整形は、原稿を書き終えたあとの最終調整ではなく、読みやすさを決める独立した工程です。内容が同じでも、整形の有無で読者の読了率は変わります。
整形の途中で内容を書き足すこともありますが、本文整形の主な目的は文章を増やすことではなく、すでにある文章の形をそろえることです。目的を混同すると、整形の工程がいつまでも終わりません。
この記事で分かること
この記事では、見出しレベル・改行・文体をそろえる手順と、リフロー型のKindle本で崩れやすい箇所への対処、校正の進め方を説明します。目次の章立てがまだ決まっていない場合は、先に 目次・章立ての作り方 を確認してください。
見出しレベルをそろえる手順
見出しは、章(大見出し)と節(小見出し)の2段階を基本にします。段階を3つ以上に増やすと、Kindleでの表示が読者にとって分かりにくくなりやすいため、必要な場合以外は2段階にそろえます。
見出しの文字数もそろえておくと、目次に一覧で並んだときに読みやすくなります。極端に長い見出しと短い見出しが混在していると、目次だけを見た読者が内容の粒度をつかみにくくなります。
見出しの文言は、体言止め(〜すること、〜の理由など)か、文の形(〜します、〜とは何かなど)かを本全体でそろえます。混在していると、目次を一覧で見たときに統一感がなくなります。
見出しの後に続く本文の最初の一文で、その見出しの内容を繰り返さないようにします。同じ内容を見出しと本文の冒頭で二重に書くと、読者にとって冗長に感じられます。
章の数が多い本ほど、見出しの付け方の一貫性が崩れやすくなります。すべての章を書き終えたあとに、見出しだけを抜き出して並べて見直す時間を取ると、ずれに気づきやすくなります。
改行・段落をそろえる手順
段落は、1つの話題につき1段落を基本にします。話題が変わるところで改行せずに書き進めると、リフロー型の画面ではどこで話が切り替わったのか分かりにくくなります。
逆に、1文ごとに改行する書き方も、スマートフォンの画面では余白ばかりが目立ち、読みにくくなります。段落の長さは、端末の画面幅に依存しない範囲でそろえておくことが大切です。
箇条書きを使う場合も、本当に情報が並列である箇所に限定します。文章で説明できる内容を無理に箇条書きにすると、かえって話の流れが読み取りにくくなります。
段落の先頭を1文字下げるかどうかも、本全体で統一します。混在していると、意図的な改行なのか単なる書式の乱れなのか、読者が判断できなくなります。
文体を統一する手順
です・ます調とだ・である調が混在していると、読者は本として不自然に感じます。原稿を複数の文章から寄せ集めた場合ほど、この文体の混在が起きやすくなります。
文体の統一は、最初から最後まで通して読み直すことでしか確認できません。章ごとに担当を分けて書いた場合は特に、最後にまとめて文末表現をそろえる作業が必要です。同じテーマは 文体がそろっていない原稿は、内容の前に本に見えなくなる でも扱っています。
語尾のバリエーション(〜です、〜ます、〜でしょう、体言止めなど)も、使いすぎると文章が落ち着かない印象になります。基本の語尾を決めておき、変化をつける箇所を意図的に絞ります。
一人称の表記(私、筆者、僕など)も本全体で統一します。章によって一人称が変わると、同じ著者が書いた本には見えなくなります。
読者への呼びかけ方(あなた、皆さんなど)も、途中で変えないようにします。呼びかけ方が変わると、読者は自分に向けて書かれているのか、別の読者を想定した文章なのかが分かりにくくなります。
リフロー型で崩れないようにする手順
リフロー型では、改ページの位置を文字数で固定できません。章の区切りには改ページ指定を使い、段落の途中に強制的な改行を入れないようにします。
画像を挿絵として入れる場合は、画像の周囲に本文が回り込む設定を避け、画像の前後を独立した段落として扱います。回り込み設定は、端末によって崩れ方が変わりやすい箇所です。
表を本文に入れる場合は、画面の狭い端末では横にはみ出しやすくなります。表でしか伝えられない内容かどうかを見極め、文章で説明できる場合は表を使わない選択肢も検討します。
表記ゆれをそろえる手順
数字の全角・半角、カタカナ語の表記(例: サーバー/サーバ)、人名や固有名詞の表記を、本全体で統一します。表記ゆれは内容の誤りではありませんが、読者には細部への注意不足として伝わります。
統一する際は、最初に使った表記を基準にし、原稿全体で同じ言葉を検索して置き換えます。章ごとに担当を分けて書いた原稿ほど、この作業に時間がかかります。
略語を使う場合は、初出時に正式名称を添えておくと、章をまたいで読む読者にも意味が伝わります。
校正の手順
整形が終わったら、誤字脱字だけでなく、見出しと目次の名称が一致しているかを確認します。KDP公式ヘルプによると、目次の確認項目には、目次内の名称と本文の見出しが一致していることが含まれます(出典参照)。
校正の進め方は 校正(出版前の確認工程) でも扱っています。声に出して読む、章単位で日を空けて読み直すなど、複数の方法を組み合わせると見落としが減ります。
誤字脱字の確認は、書いた直後よりも、時間を置いてから読み直すほうが見つけやすくなります。章を書き終えるたびにではなく、原稿全体が整形し終わったあとにまとめて確認する時間を設けます。
つまずきやすい点
本文整形で止まりやすいのは、見出しの書式をコピー&ペーストで済ませようとする場合です。別のファイルからコピーした文章は、見出しの書式やフォントの情報を引き継いでいることが多く、統一したつもりでも表示が崩れる原因になります。
もう一つは、パソコンの画面で整形を確認して終える点です。実際の読者はスマートフォンや電子書籍リーダーで読むため、EPUB作成とKDP入稿の手順 で扱うプレビュー確認まで済ませておく必要があります。
整形のルールを決めないまま作業を始めることも、つまずきやすい点です。見出しの段階数や語尾を先に決めておかないと、あとから全体をやり直す作業が発生します。
整形の確認を1人だけで行うことも、見落としが残りやすい原因です。可能であれば、書いた本人以外の目でも一度確認してもらうと、表記ゆれや見出しのずれに気づきやすくなります。
出版ラクダではどうなるか
出版ラクダは、原稿を入れるだけで目次・本文整形・表紙・挿絵・販売文を生成し、EPUB/Kindle入稿用EPUB/PDFまで書き出す、買い切り型のKindle出版支援Webサービスです。見出しレベルや改行の書式は、取り込んだ原稿の内容から自動で整えます。
表記ゆれの統一や見出しの整形をやり直したい場合も、原稿を入れ直す必要はなく、整形結果だけを再生成できます。文章の書き直しが必要な箇所は、プランに応じて1冊あたり10回・20回・40回の文章生成枠の範囲で生成し直せます。
整形結果はMarkdown・PDF・EPUB・Kindle入稿用EPUBとして、回数の上限なく出力できます。校正で見つけた修正点も、該当箇所だけを直して再度整形し直せます。